GIANT JAPAN 社長&企画課長の社内テストに同行取材ジャイアントのE-BIKEで関東大学駅伝コースにチャレンジ! 大手町から芦ノ湖まで110km走行できるか?PR
Eバイクってどんな乗り心地?実際の走行でバッテリーはどれくらい持つの? カタログに書いてあるスペックや数字が実際にどうなのか気になるところ。そんな疑問に答えるべく、サイクリング初心者でも気軽に乗れるクロスバイクタイプのEバイク「ESCAPE RX E+」を発売したGIANT JAPANの社長と製品を企画した課長が「1回の充電だけでどこまで行けるのか?」を実証実験。その体を張った企画にCyclist編集長も帯同し、バッテリー残量を主題に「ESCAPE RX E+」の性能を確かめた1日を動画とともに詳しくリポートします。
「日本にEサイクリングを広めたい」
挑戦したのはGIANT JAPANを率いる中村晃(なかむら・あきら)社長と、「ESCAPE RX E+」を企画・開発した商品部企画課の斎藤朋寛(さいとう・ともひろ)課長。「Eバイクによるサイクリング(Eサイクリング)を日本で普及させたい」。その思いを広めるべく、東海大学出身の2人が、正月の大学駅伝で活躍した母校の活躍に喚起され、Eバイクで途中充電なしに箱根路を走り切れるかをテストすることになった。その社内テストを厳正に見届けるため、Cyclist編集長・澤野健太が同行取材することになった。
テストの対象となる「ESCAPE RX E+」は、日本国内向けに開発されたクロスバイクタイプのEバイクで、Eサイクリングを日本に広めるうえで最適の1台。業界基準テストにおけるGIANT JAPANの公称値では、もっともアシスト力の強い「スポーツモード」での業界基準「一充電あたりの走行距離」は90km。今回、東京~芦ノ湖の約110kmを完走できれば、そのデータを大きく上回る走行性能が実証されることになる。社運をかけて挑戦した2人は、果たして無事走り切ることができるのか。
出発前に体重、車重を厳密に計測
テストが決行されたのは、3月27日。当日朝に3人は体重とともに、それぞれ乗るバイクを計測した。体重、自転車に乗せた荷物の重さがどれくらいバッテリー消費に影響するかを調べるためだ。体重、及び車重はヘルメット、カメラなどの装備を含め、中村(体重87.8kg、車重22.00kg)斎藤(体重56.7kg、車重27.29kg)澤野(体重69.4kg、車重22.29kg)だった。斎藤課長は予備用バッテリー(3.4kg)をリアキャリアに、澤野は撮影用機材を背負っての行程となった。速度は常時アシスト性能を実感できるよう時速21~22kmを守ることをルールとした。
1区の課題は信号でのストップ&ゴー
午前7時30分、気温9℃、快晴の東京・大手町をスタート。朝日を浴びながら、皇居前、日比谷、増上寺と通勤ラッシュが始まる前の名所を通りながら日比谷通りを南下した。都内では、信号の多さ、そして路肩に止まっている貨物車、乗用車が多く減速と加速、ストップ&ゴーを繰り返したが、普段なら脚に来るゼロ加速が、脚を回すだけでスムーズに発進できる感覚で、疲労もストレスも少なく都内を走ることができた。
駅伝でも全体の流れを決めるという第1区。ESCAPE RX E+でのサイクリングでも順調なスタートが切れた。
午前8時40分、多摩川に架かる六郷橋を渡り、神奈川県へ。途中でコンビニトイレ休憩を1回挟んで、最初の計測地点「鶴見中継所」に到着した。バッテリー残量は、斎藤90%、中村88%、澤野90%で順調な滑り出しとなった。箱根の山が始まる「小田原中継所」まではなるべく消費を少なくして、最後の上り坂にとっておきたいところだ。
「花の2区」権太坂でアシスト性能を実感
鶴見から第2中継所の戸塚まで、通称「花の2区」23.1km。華やかながら、細かいアップダウンが続く区間だが、今回の箱根チャレンジでも1区〜4区の平地区間では、もっとも厳しい区間になった。名物の難所「権太坂」は、毎年駅伝でもドラマを生んできた場所。高低差約40m、平均斜度約8%の坂に差し掛かると、モーター音とともにパワフルにアシストし始めた。力強く踏まなくても権太坂を時速17〜18km/hで楽々こなしてしまう感覚は、なんとも言えない楽しさだ。結局1回も立ちこぎすることなく全長約800mの坂をクリアできた。
Eサイクリングでの2区の難敵は「コースの違い」だった。駅伝は特別な交通規制により横浜新道(自動車専用道路)を通るが、今回の我々が戸塚中継所を目指すためには一部迂回路を通って戸塚駅の線路を越え、横浜新道の歩道を通る必要がある。低速からの加速を繰り返すためバッテリーにとっては厳しい状況が続いた。約2時間かけて11時30分に戸塚中継所(44.4km)に到着。気になるバッテリー残量は中村社長71%、斎藤課長75%、澤野74%だった。全行程の約半分を走ってのこの残量に、私は「このペースでなら完走も大丈夫ですね」と余裕ぶっていたところ、中村社長に「箱根の坂のために小田原中継所で50%は残しておきたいですよね」と気を引き締められた。
戸塚中継所でラーメン補給
Eサイクリングは身体への負担は少ないものの、ペダリング運動をしているからかロードバイク同様お腹は空いてくる。バッテリーよりも自分の体のエネルギー残量が赤信号だったので、戸塚休憩所名物『ラーメン中継所』2店舗のうちの「カミカゼ」の『塩焦がしネギラーメン』(大盛り+海苔トッピング)でばっちり栄養補給。続く3区へ再スタートを切った。
第3区はいよいよ海沿いの湘南らしい風景が見えてくる。藤沢、辻堂の市街地を抜けると、いよいよ湘南の代名詞、国道134号に合流。信号が多くストップ&ゴーで苦しんだ1区、アップダウンと渋滞で苦しんだ2区に比べ、やっと3区は平地で道も広く、信号も少なめ、ここでバッテリーの消費を抑えたいところだったが、まさかの強風がここから3人を苦しめた。
強風に苦戦の海沿い区間
茅ヶ崎市から平塚市に入る相模川にかかる湘南大橋を渡っているところ、海側から突風を受け、思わず右に30cmほど飛ばされるほどだった。平塚中継所(65.8km)でバッテリー残量チェック後、4区に入っても状況は変わらず、向かい風になったり、横風になったり。しかし、強力なモーターアシストのおかげで、向かい風でもしっかりアシストしてくれるので身体的負担はほとんどなかった。一方で、風を受けペダルから入力する力が大きくなる分、パワフルにアシストするモーター音は大きくなり、バッテリーの減りは進んでいってしまった。「これほど強い向かい風は想定外です。完走も厳しいかもしれませんよ…」と先頭を引く斎藤課長は心配そうなコメント。
小田原に入り、小田原城や古い街並みを通り抜け、早川口の交差点に差し掛かると、目の前に箱根の山がそびえたった。いよいよ勝負のヒルクライムに突入する。最後の小田原中継所(86.7km)でバッテリー残量をチェックすると斎藤課長、澤野は「52%」、中村社長は残り「46%」と、この地点での目標の「50%」をわずかに割っていた。総重量84㎏の斎藤課長は「充電なしで完走ペース」。総重量92kgの編集長・澤野は「完走が微妙なボーダーライン」。中村社長は「ほぼ無理ペース」で残り21kmに臨むことになった。
急こう配の上りでも景色を楽しむ余裕
箱根湯本までの傾斜は緩く、サイクリングペースで周囲の風景の変化を楽しみながら進んだ。神奈川に住む筆者もロードバイクで何度も通っているルート。商店街を過ぎ、昭和8年竣工の旭橋や函嶺洞門などの歴史あるポイントまではロードバイクで楽しめた記憶があるが、そこから先の塔ノ沢付近からは、ほとんど苦しくて風景を覚えていない。
しかし、ESCAPE RX E+では一気に急こう配になる太平台のヘアピンカーブ、宮ノ下でも力強いアシストで座ったまま景色を楽しむことができた。「こんな大変な坂を走って上るのは大変だね。すごいね~」(中村社長)と、歴史ある富士屋ホテルの外観、咲きつつある桜や、冬から春に変わる景色を3人で楽しみながら余裕で進むことができた。
さらに、テスト当日は交通量が多く、車を抜かせるために急こう配で凸凹の路肩走行を余儀なくされたが、アシストがあるため安定していて不安なく走行することができた。アシストがあるから「楽すぎてつまらない」ということはなく、ロードバイクのヒルクライムと同じく、急こう配になるにしたがって、ペダルに込める力は大きくなり、しっかり汗もかいていた。
中村社長が無念のバッテリー交換
気になるのはバッテリー残量だ。箱根路は進めば進むほど急こう配になっていくため、バッテリーはカウントダウンするように減っていった。スタートから101kmになるユネッサン周辺でついに中村社長のバッテリー残量が3%になり、自動的にスポーツモードからエコモードに切り替わった。(※ESCAPE RX-E+ はバッテリー残量が3%になると自動的にECOモードに切り替わり残量を保持するシステムを搭載している)
「本当はエコモードで0%まで頑張ってもらいたいですが、これからまだ急坂が続くのでスポーツモードじゃないと厳しいですね。交換しましょう」と斎藤課長がリアキャリアにつけていた予備バッテリーを渡すと、中村社長は瞬時にバッテリー交換を済ませ再スタートを切った。このように交換バッテリーを持って走れば、航続距離200km以上も視野に入ってくるため、Eサイクリングの可能性がさらに広がりそうだ。
この時点で、最後の山場となる「国道1号最高地点(874m)」まで5kmの距離。斎藤課長はバッテリー残量「20%」、澤野は残り「10%」。ヒルクライムでは重量差がバッテリー消費に影響することがよくわかった。「澤野さんはギリギリのラインですね」と斎藤課長。最高地点からは下りと平地なのでそこまでバッテリーが持たせられるかが現実的な目標となった。1kmで1%ずつ減っていくような感覚で、少しずつ芦之湯温泉前の長い下りと上りに差し掛かった。
しかし、魔の強風に箱根の最高地点でも苦しめられることになった。通常下りの後は惰性で上りの途中まで行けるが、ここでも物凄い向かい風が吹き荒れていて、最高地点まで最後の標高差30mを上りきったところで澤野のインジケーターは遂に「3%」になり「スポーツモード」から「エコモード」に切り替わった。ゴールまでまだ4.3km残っていたが、ほぼ下りと芦ノ湖沿いの平坦道。ほぼ完走が約束された安堵もあり、3人で記念撮影した。
下りでも安定の走行性能
最高地点からの下りは気分も爽快で、ESCAPE RX E+の走行性能をここでも体感することができた。芦ノ湖を目の前に見ながら、ずっと続くダウンヒルでは、自分が乗るロードバイクよりもずっと安定していた。「車体の剛性が高いこととジオメトリのおかげですね」と斎藤課長。つづけて「フレームと一体型のバッテリーは見た目だけではなく低重心にも貢献してくれています。前後12mmスルーアクスルや油圧ブレーキも、重量のあるEバイクには安心してサイクリングするためのマストなスペックなんです」と説明を受けた。
約3kmの下りを楽しむと、いよいよ目の前に芦ノ湖が広がった。九頭竜神社の大鳥居、旧街道の杉並木を通り、春休みの観光客とインバウンドで溢れかえる湖畔を見ながら、箱根駅伝記念館前に3人並んで無事ゴール。「ついに走り切ったね。誰も僕たちが大手町から自転車で来たとは思わないだろうね」(中村社長)と、自分たちにしかわからない優越感に浸り握手を交わした。
最終的なバッテリー残量は斎藤課長が「10%」、澤野が「2%」、中村社長が2個目のバッテリーで「80%」だった。「今日は風が強くて年度末で交通量も多く厳しいテスト条件でしたが、なんとか公称データ(スポーツモード航続距離・1充電90km)を上回る結果が出せました」と斎藤課長がほっとした表情を見せれば、中村社長は「Eサイクリングは楽しいですね!今回みたいに、余裕のある方は交換バッテリーを持ってサイクリングするのも安心でお勧めですね」と笑顔で話した。
◇ ◇
完走後対談「一般の人が100kmを身近に」
箱根チャレンジを無事走り終えて、中村課長と斎藤課長に、この日のテストライドの振り返りと、今後のEバイクを使ったサイクリングの可能性について聞きました。
Cyclist澤野:Eバイクでこんなに長距離を走ったのは初めてだったのですが、正直いって時速20km前後で走るのが大変でした。むしろもう少しスピードを出した方が自然でラクだし、バッテリーもさらに持ったのではと感じました。ずっと先頭固定で引いていただいた斎藤さんはいかがでしたか?
斎藤課長:そうでしたね。テストしたスポーツモードは加速が良いので、すぐに時速20kmを超えて24kmくらいまでスピードがのってしまうので、テストとはいえ、条件の時速21km近辺に合わせて走ることは本当に苦労しました。
Cyclist澤野:バイクの性能としてはモーターアシストが切れた時速24km以上でも走行感がよかったので、平地が続くコースならもっと距離を伸ばせそうな気がしました。
斎藤課長:都内もですが、全般的に車との速度差があるため、道幅によっては危ない場面もありましたね。今回はテストということでバッテリーが消費される範囲で走りましたが、実際はアシストがない時速25kmくらいでも気持ちよく走れてしまいますので、リアリティとしては、航続距離はもっと伸びると考えています。
Cyclist澤野:芦ノ湖にゴールした後、帰りのレンタカーを予約した小田原まで「裏の6区」を走ったんですよね。そこでちゃっかり残量10%の斎藤さんのバッテリーと私のもの(残量2%)を交換してもらい「エコプラスモード」で走りましたが、個人的にはスポーツモードより「ヒルクライムしている感」を楽しめましたし、実際は平地も含めてモードを切り替えながら航続距離を伸ばす楽しさもEサイクリングにはあると思いました。スポーツバイク初心者がこのバイクに乗って、途中から楽しくなってきて運動強度を上げたいときに、モードを切り替えたらサイクリングにハマるきっかけになるかもしれませんね。
斎藤課長:私はその6区をフロントライトのためにバッテリーを温存して「オフモード(アシストなし)」で上ったので、辛くて泣きそうでした。今回は航続距離テストのためスポーツモードのまま走りましたが、バッテリー残量を見ながらモードを調整してゴールまでたどりつくゲーム性もEバイクの魅力のひとつだと思います。今回のように予備バッテリーを持って走るか、途中で宿泊しながら毎晩充電して長距離Eサイクリングを楽しむのもいいですね。
Cyclist澤野:中村社長が今回、GIANT JAPANとして斎藤課長と箱根に挑戦しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
中村社長:100kmって、乗らない人からすると異次元の世界なんです。拒否感というかそもそも自転車でそんなに走るのは理解不能だと思います。ただし、自転車に乗らない人でも「大学駅伝」というのは皆さんが知ってますし、厳しい坂道を含んだ100kmという距離を感じてもらうには大学駅伝のコースは最適なんじゃないかと思いました。
これまでは自転車で100kmというのはマニアの世界の話でしたが、ESCAPE RX E+ならその距離を一般の方でも身近に感じてもらえるんじゃないかと考えています。おそらく、軽快車タイプの電動アシスト車だと1区か2区までしか走れないと思いますが、ESCAPE RX E+なら箱根まで行ける。そこを分かりやすくお伝えしたかったので今回のルートにチャレンジしました。
Cyclist澤野:今後は「ESCAPE RX E+」を使ったどのような展開が考えられますか?
中村社長:広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ「しまなみ海道」、広島県尾道市と島根県松江市を結ぶアップダウンの激しい「やまなみ街道」、琵琶湖一周の「ビワイチ」、群馬県のヒルクライム名山「赤城山」や「榛名山」など、サイクリングに最適なエリアのジャイアントストアには、もうすでにESCAPE RX-E+のレンタサイクルを導入しています。
今後も四国一周や他の観光地でもレンタサイクルを広めて、たくさんの人にEサイクリングの楽しさを体験してもらいたいです。Eバイクは楽しいですが、それをきっかけにその後ロードバイクに乗る流れもできると思います。将来的にはEバイクからサイクリングをはじめた10人の内、2人でも3人でも普通のロードバイクに乗ってくれたらと思っています。
Cyclist澤野:今回はESCAPE RX E+で挑戦しましたが、クロスバイクタイプ以外のEバイクはGIANT JAPANとしてどう展開しますか?
中村社長:今後はマウンテンバイク(E-MTB)も考えています。狙いは本格的なトレイルを走ることだけではありません。例えば、カンボジアのアンコールワットには観光スポットがたくさんありますが、各スポットをつなぐ道は荒れていて距離もあるため年配者にとっては課題でした。実はそこで今E-MTBが活躍しているんです。
同様な観光地が日本でもあると思いますし、スキー場でのダウンヒルなどでなく、ちょっとした荒れた道や、歩くと疲れる道で安定して乗れるE-MTBの使い方も同時に考えています。「自転車でラクしちゃおう」というキーワードで、Eバイクはもっともっと広がると信じています。
今回の使用バイクとアクセサリー
■ESCAPE RX-E+
税抜価格:280,000円
サイズ:445mm(XS)、485mm(S)
カラー:ブラック、アイスグレイ
変速:SHIMANO TIAGRA 10-Speed
フレーム:ALUXX SL-Grade Aluminum OLD142mm
フォーク:ALUXX SL-Grade Aluminum OverDrive Column 12mm Axle
ブレーキ:SHIMANO MT200 160mm Rotors
サドル:GIANT CONTACT COMFORT NEUTRAL
ホイール:GIANT GX-28 WheelSet
タイヤ:MAXXIS RE-FUSE 700x32C
重量:20.0kg(445mm)
■TOP TUBE BAG WP (L)
税抜価格:2,800円
■SHADOW UNICLIP SEAT BAG (L)
税抜価格:3,400円
■RACK-IT METRO REAR RACK – MIK SYSTEM
税抜価格:7,000円
■TRUNK BATTERY BAG WITH MIK SYSTEM
税抜価格:5,000円